老人ホームは全国に何施設ある?入居率と空室、夫婦部屋が少ない理由

老人ホームの稼働状況と夫婦部屋の少なさを家族へ説明するクラッシュ 老人ホームの選び方

老人ホームを探し始めると、「これだけ施設があるなら、どこかはすぐ空いているのでは?」と思う方も多いでしょう。

しかし実際には、施設の総数が多いことと、希望条件に合う空室が見つかることは別問題です。地域・予算・要介護度・認知症・医療行為などの条件を重ねるほど候補は少なくなり、夫婦で同じ部屋へ入れる施設はさらに限られます。

この記事では、公的統計をもとに全国の主な高齢者施設・住まいの数と利用状況を確認し、なぜ施設探しが難しくなるのかを現場目線で解説します。

全国にはどのくらいの入居施設がある?

主な高齢者施設・住まいの公表数は次のとおりです。統計の基準日や制度上の数え方が異なるため、単純合計ではなく施設種別ごとに見てください。

施設・住まいの種類 施設数・登録数 基準時点
有料老人ホーム
(サ高住を除く)
18,460施設 2024年10月1日
サービス付き高齢者向け住宅 8,317件(登録件数)・291,009戸 2026年7月末
特別養護老人ホーム 8,621施設 2024年10月1日
地域密着型特別養護老人ホーム 2,551事業所 2024年10月1日
介護老人保健施設 4,214施設 2024年10月1日
介護医療院 917施設 2024年10月1日
認知症グループホーム 14,341事業所 2024年10月1日

全国には多くの選択肢がありますが、これらは目的も入居条件も異なります。例えば、老健は原則として在宅復帰を目指す施設であり、特養は原則要介護3以上、グループホームは認知症の診断や施設と同じ市区町村に住民票があることなどが基本条件です。数だけを合計しても、誰でも選べる施設数にはなりません。

どのくらい埋まっている?

厚生労働省の2024年調査で公表されている利用率・在所率は次のとおりです。介護保険施設の数値は「介護サービス施設・事業所調査」、有料老人ホームの数値は「社会福祉施設等調査」に基づきます。集計対象や算出上の扱いが異なるため、施設間の単純な優劣を示すものではありません。

施設の種類 利用率・在所率 100床に置き換えたイメージ
特別養護老人ホーム 94.5% 約95床が利用中
介護老人保健施設 88.2% 約88床が利用中
介護医療院 91.1% 約91床が利用中
有料老人ホーム
(サ高住を除く)
87.1% 約87人が在所

特に特養は利用率が94.5%と高く、費用を抑えやすい施設や人気地域では待機が長くなることがあります。有料老人ホーム全体の在所率は87.1%ですが、「残り約13%がすぐ入居できる空室」という意味ではありません。

これらは全国平均です。人気の施設、低価格帯、駅から近い施設、医療対応が充実した施設は、ほぼ満室の状態が続き、空室が出ても早く申し込みが入ることがあります。一方で空室が続く施設もあるため、「全国平均で空きがある=希望する施設にも空きがある」とは限りません。

入居率と「今日紹介できる空室」は同じではない

統計上の定員と在所者数に差があっても、次のような事情で募集できない部屋が含まれることがあります。

  • 退去したばかりで清掃や修繕中
  • すでに申し込みや入居判定が進んでいる
  • 職員配置の都合で受け入れ人数を調整している
  • 感染症対応などで一時的に受け入れを止めている
  • 医療行為や認知症症状への対応が難しい
  • 男女別の多床室など、本人に合わない条件がある

そのため、公開されている入居率から、現在の実質的な空室数を計算することはできません。空室情報は日々変わるので、候補施設へ個別に確認する必要があります。

施設が多くても、条件を絞ると候補は減っていく

施設探しでは、主に次の条件を重ねて候補を絞ります。

  • 自宅や家族から通いやすい地域
  • 月額費用と入居時費用
  • 要介護度や認知症の状態
  • インスリン、透析、吸引、経管栄養などの医療対応
  • 生活保護の受け入れ
  • 個室・多床室、部屋の広さ
  • すぐ入居したいのか、待つことができるのか

「全国ではたくさんある」のに探すと数施設しか残らないのは、このためです。特に低価格帯、駅に近い施設、医療対応が充実した施設は希望が重なりやすく、空室が出ても早く埋まる傾向があります。

夫婦部屋は、なぜさらに少ない?

夫婦で同じ部屋に入りたい場合、通常の一人用個室より選択肢がかなり少なくなります。特養の居室は原則一人を基本とし、認知症グループホームも個室中心です。有料老人ホームやサ高住には二人入居可能な居室もありますが、すべての施設に用意されているわけではありません。

全国統計では「夫婦部屋が何室あり、何室空いているか」というリアルタイムな数字は公表されていません。現場では、一つの施設に夫婦部屋が数室だけ、あるいは夫婦部屋自体がないケースも珍しくありません。

夫婦部屋探しが難しくなる主な理由

  • 建物の多くが一人用居室を中心に設計されている
  • 夫婦部屋は一室あたりの面積が広く、もともとの室数が少ない
  • 一度入居すると長く利用されることがあり、空く頻度が低い
  • 夫婦双方の介護度・医療対応を同じ施設が受け入れる必要がある
  • 二人分の家賃・管理費・食費・介護費用を確認する必要がある

「夫婦一緒」にこだわる場合の確認ポイント

夫婦部屋が見つかっても、次の点は必ず確認しましょう。

  1. 二人入居が契約上可能か
    広い部屋でも、一人入居専用の場合があります。
  2. 片方だけ介護度が高くても受け入れられるか
    自立の方と要介護の方で入居条件が異なる施設もあります。
  3. 片方が入院・退去・死亡した後の契約
    一人になった場合も同じ部屋を使えるのか、個室への移動が必要か確認します。
  4. 月額費用は二人でいくらになるか
    家賃は一室分でも、食費・管理費・生活支援費・介護保険の自己負担は二人分になることがあります。
  5. 将来、介護状態が変わった場合の対応
    認知症や医療行為が増えた際も、同じ施設で暮らせるか確認します。

同室が見つからないときの代替案

  • 同じ施設内の隣同士、または近い個室を申し込む
  • 同一法人の近隣施設を組み合わせる
  • 一方が先に入居し、夫婦部屋の空きを待つ
  • 少し地域を広げて探す
  • 月額予算や建物の築年数など、優先順位を整理する

同じ部屋だけで探すより、「同じ建物で毎日会える」「隣室で暮らす」まで広げると候補が増える場合があります。ただし、将来部屋を移れる保証があるとは限らないため、口頭説明だけでなく契約条件も確認しましょう。

クラッシュの現場メモ|空室はタイミングで大きく変わる

施設探しの現場では、昨日まで満室だった施設に急に空きが出ることもあれば、条件に合う施設を何か月探しても見つからないこともあります。特養待ちで民間施設へ入居し、空きを待つ方も少なくありません。

だからこそ、空室が出てから考え始めるのではなく、予算・地域・医療対応・夫婦同室などの優先順位を先に整理しておくことが重要です。夫婦部屋を希望する場合は、入居時期に余裕を持ち、複数施設へ早めに相談することをおすすめします。

まとめ|施設数より「自分に合う空室」が大切

全国には有料老人ホームや特養、老健、サ高住など多くの施設があります。しかし、高い利用率に加えて、地域・費用・介護度・医療対応を絞ると、実際に選べる空室は限られます。

夫婦部屋は一般の個室よりも室数が少なく、双方の状態や費用条件まで合う必要があります。希望条件に優先順位をつけ、早めに情報収集を始めましょう。


※本記事は2026年9月時点で確認できる公的情報をもとに作成しています。施設数と利用率は統計の基準日や集計方法が異なり、現在の空室状況を示すものではありません。

参考:
厚生労働省「令和6(2024)年介護サービス施設・事業所調査」
厚生労働省「令和6(2024)年社会福祉施設等調査」
サービス付き高齢者向け住宅情報提供システム「2026年7月末の登録状況」

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