老人ホームへ入居する前はどこにいた?自宅・病院からの入居割合を統計で解説

病院や自宅から老人ホームへ移る本人と家族を案内するクラッシュ 老人ホームの選び方

老人ホームへの入居は、自宅で元気に暮らしているうちに計画的に決める方ばかりではありません。入院をきっかけに自宅へ戻ることが難しくなり、退院期限に合わせて急いで施設を探すケースも多くあります。

厚生労働省の資料に掲載された令和6年度の調査結果では、回答施設の新規入居者のうち、特定施設(介護付き有料老人ホームなど)では36.7%、住宅型有料老人ホームでは43.4%、サ高住(特定施設を除く)では29.5%が病院・診療所からの入居でした。

この記事では、入居前の居場所に関する統計と、病院から施設へ移る場合に施設選びが慌ただしくなりやすい理由を解説します。

入居前の居場所は「自宅」と「病院」が中心

令和6年度老健事業「高齢者向け住まいにおける運営実態の多様化に関する実態調査研究」の結果として、厚生労働省資料の109ページ(PDFでは110枚目)に掲載されている数字です。表の人数は調査に回答した施設の新規入居者数で、全国の年間入居者総数ではありません。施設の類型や調査対象の範囲を踏まえて見てください。

入居先 自宅・家族等と同居から 病院・診療所から 新規入居者数
介護付き有料老人ホームなどの特定施設 43.5% 36.7% 2,063人
住宅型有料老人ホーム 38.1% 43.4% 2,147人
サービス付き高齢者向け住宅
(特定施設を除く)
50.9% 29.5% 1,855人

住宅型有料老人ホームでは、病院・診療所からの入居が自宅等からの入居を上回っています。介護付きでも3人に1人以上、サ高住でも約3割が病院から入居しています。

この調査では、病院・診療所から移る方が一定の割合を占めています。ただし、入居前の居場所を示した数字から、入居の理由や、施設を探すために使えた期間までは判断できません。以下では、統計とは分けて、病院から施設へ移る際の準備について説明します。

老人ホームへの入居を考える主なきっかけ

  • 入院後、歩行や排泄などに介助が必要になった
  • 退院後に一人暮らしへ戻ることが難しい
  • 認知症が進み、服薬・火の管理・外出が心配になった
  • 転倒が増え、自宅での生活に危険が出てきた
  • 家族の介護負担が大きくなった
  • 配偶者や同居家族が介護できなくなった
  • 自宅の段差や間取りが身体状態に合わなくなった
  • 医療行為や夜間の見守りが必要になった

多くの場合、一つの理由だけではなく、本人の身体状態・住環境・家族の事情が重なって施設入居を検討します。

病院から施設へ移る場合、なぜ急ぎやすい?

病院は治療を行う場所であり、治療が終われば退院後の生活場所を決める必要があります。退院日の見通しが出てから施設を探し始めると、限られた期間で次の確認を進めなければなりません。

  • 受け入れ可能な空室があるか
  • 本人の医療行為や介護状態に対応できるか
  • 月額費用を継続して支払えるか
  • 退院日までに診療情報提供書などの書類がそろうか
  • 施設側の面談・入居判定を通過できるか
  • 家具、衣類、薬などを準備できるか

前の記事で紹介したとおり、主な入居施設の利用率・在所率は全国平均で約87〜95%です。希望していた施設が満室の場合、退院期限に間に合う「現在空いている施設」を中心に選ばざるを得ないことがあります。

本人が施設を見ないまま決まることもある

入院中の本人が外出できない、車いす移動が難しい、認知症や体調の影響で見学できないといった場合は、キーパーソンとなる家族や成年後見人などが代わりに見学し、本人に合う施設かを判断するケースがあります。

家族や後見人は、本人の生活歴や希望を踏まえて真剣に選びます。しかし、居室の広さ、窓からの景色、食堂の雰囲気、職員との相性など、本人が実際に見なければ分かりにくいこともあります。

自宅からの入居でも、動けなくなってからでは選択肢が減る

自宅から入居する方も、転倒や認知症の進行などで生活が難しくなってから探し始めることが少なくありません。本人が見学へ行けない状態になっていると、家族が情報を集め、短期間で判断することになります。

また、「費用を抑えたい」「自宅の近くがいい」「医療対応が必要」「夫婦部屋がいい」といった条件が多いほど、空室のある候補は少なくなります。

統計から分かること|施設探しは元気なうちから

この統計は、「すぐに施設へ入居しましょう」という意味ではありません。大切なのは、入居を決める前から情報を持っておくことです。

元気なうちに見学しておけば、本人が自分の目で施設の雰囲気を確かめられます。実際の入居が数年後になったとしても、希望や苦手なことを家族と共有する材料になります。

事前に希望や候補を整理しておくと、急いで探す際も確認する手がかりになります。ただし、この統計が早期見学の効果や必要な見学数を示しているわけではありません。候補の数は体調・地域・期限に合わせ、実際に検討する際は最新の空室と受け入れ条件を確認してください。

まとめ|病院や自宅から急に入居する方は少なくない

2024年の公的調査では、病院・診療所から入居した新規入居者は、介護付きで36.7%、住宅型で43.4%、サ高住で29.5%でした。特に住宅型では病院からの入居が最も多くなっています。

介護が必要になってから慌てて探すと、その時点で空いている施設から選ぶことになり、本人が見学できない場合もあります。次の記事では、本人らしい暮らしにつなげるために、施設探しをいつ始め、何を準備しておけばよいのかを詳しく解説します。


※本記事は2026年9月時点で確認できる公的情報をもとに作成しています。割合は調査対象となった施設の回答結果であり、すべての入居者を示すものではありません。

参考:
厚生労働省「有料老人ホームの現状と課題・論点について」

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