老人ホームの費用はいくら?月額料金以外にかかるお金を解説

老人ホームの月額費用の内訳を説明するクラッシュと相談する家族 費用・生活保護

老人ホームを探す時、パンフレットに書かれた「月額○万円」という金額だけを見て予算を考えていませんか。

実際の支払いには、家賃・管理費・食費のほか、介護保険サービスの自己負担、医療費、薬代、おむつ・日用品、通院付き添いなどが加わります。入居後に「思っていたより高かった」とならないよう、施設利用料ではなく毎月の総額で比べることが大切です。

この記事では、老人ホームにかかる初期費用と月額費用、見落としやすい追加費用を分かりやすく整理します。

老人ホームの費用は「初期費用+毎月の費用」

費用 主な内容
入居時に必要なお金 入居一時金、敷金、保証金、前払い家賃、家具・家電、引越し費用など
施設へ毎月払うお金 家賃、管理費、食費、水道光熱費など
介護にかかるお金 介護保険サービスの自己負担、保険外サービスなど
医療・生活にかかるお金 医療費、薬代、おむつ、日用品、理美容、通院付き添いなど

施設により「月額利用料」に含まれる項目が違います。同じ月額15万円と表示されていても、水道光熱費や洗濯代まで含む施設と、別途請求される施設では総額が変わります。

入居時にかかる初期費用

入居一時金・前払い金

将来の家賃などを入居時にまとめて支払う方式です。入居時に一定額が償却され、残りを想定居住期間に応じて少しずつ償却する契約もあります。

短期間で退去した場合の返還額、初期償却の有無、償却期間を重要事項説明書と契約書で確認してください。

敷金・保証金

賃貸住宅と同じように、未払い費用や退去時の原状回復費用に備えて預けるお金です。退去時にどの費用が差し引かれるのか確認します。

家具・家電・引越し費用

居室にベッドやカーテンが備え付けられているかは施設ごとに異なります。テレビ、冷蔵庫、収納、寝具、衣類、日用品の購入費や搬入費も予算に含めましょう。

施設へ毎月支払う基本料金

  • 家賃:居室を利用する費用
  • 管理費・共益費:共用部の維持、事務管理、設備管理など
  • 食費:1日3食やおやつ。欠食時の返金ルールは施設ごとに異なる
  • 水道光熱費:管理費込み、定額、使用量に応じた請求など

食事を食べなかった日でも、事前連絡の期限を過ぎると費用が発生する場合があります。入院・外泊時の家賃や管理費の扱いも確認しましょう。

介護保険サービスの自己負担

介護保険サービスを利用すると、原則として費用の1〜3割を本人が負担します。負担割合は所得などによって異なり、介護保険負担割合証で確認できます。

介護付き有料老人ホームの一般型では、要介護度等に応じた1日あたりの基本サービス費を利用日数分計算し、各種加算などが加わります。月の日数や利用日数などでも金額が変わります。施設が外部事業所へ介護を委託する外部サービス利用型は、料金の仕組みが異なるため個別に確認してください。

一方、住宅型有料老人ホームや、特定施設の指定を受けていないサ高住では、訪問介護やデイサービスなどを必要に応じて個別に契約します。特定施設の指定を受けたサ高住は、介護付きと同じ特定施設入居者生活介護の仕組みになるため、名称だけで料金方式を判断しないことが大切です。

住宅型・サ高住は「アラカルト」のように必要なサービスを選べますが、利用量が区分支給限度基準額を超えた部分は介護保険が使えず、原則として全額自己負担になります。

介護保険の金額が人によって違う理由

  • 要支援・要介護度
  • 1割・2割・3割の負担割合
  • 利用するサービスの種類と回数
  • 施設・事業所が算定する加算
  • 地域ごとの介護報酬の単価

「要介護3なら必ず○円」と一律には決まりません。施設へ本人の要介護度と負担割合を伝え、加算を含めた概算を出してもらいましょう。

医療費・薬代

訪問診療、通院、薬、訪問歯科などには医療保険の自己負担がかかります。持病や受診回数によって金額は大きく変わります。

病院へ行く際に家族が付き添えない場合、施設職員の付き添い・送迎が有料になることがあります。距離ではなく時間単位で請求され、待ち時間も含まれる施設もあるため確認が必要です。

おむつ・日用品・洗濯代

  • おむつ・尿取りパッド
  • ティッシュ・歯ブラシ・シャンプーなどの日用品
  • 衣類やタオルの洗濯
  • 寝具・リネンの交換
  • 理美容

施設指定品を定額で利用する場合、自分で購入して持ち込める場合、使用分だけ請求される場合があります。特養などではおむつ代が施設サービス費に含まれることがありますが、有料老人ホームやサ高住では別途必要となるケースが一般的です。

見落としやすい追加費用

項目 確認すること
通院付き添い 送迎代・職員の付き添い代・待ち時間
買い物代行 代行手数料、交通費、利用できる曜日
個別対応 規定回数を超える入浴や掃除、外出支援
レクリエーション 材料費、外食、旅行、行事参加費
居室変更 状態変化で介護居室へ移る際の費用
退去時 原状回復、清掃、荷物搬出、残置物処分

「月額15万円」から毎月の総額を計算する例

次は費用の足し方を説明するための架空の計算例です。相場や実在する施設の料金、特定の要介護度の金額を示すものではありません。

項目 仮の月額 確認すること
家賃・管理費・食費などの基本料金 150,000円 どこまで含むか。日数によって変わるか
介護保険サービスの自己負担 20,000円 本人の負担割合・利用内容・加算を反映しているか
医療費・薬代 10,000円 受診先等に確認した概算か。月による変動はあるか
おむつ・日用品等 10,000円 基本料金に含まれるものを二重計上していないか
ここまでの合計 190,000円 通院付き添いなど、まだ含めていない費用を確認する

この例では、基本料金15万円に別途費用4万円を加えると19万円です。さらに有料の通院付き添いを利用する月は、その料金を追加します。初期費用はこの月額と分けて用意する必要があります。

大切なのは「未確認=0円」にしないこと。医療費やおむつの使用量が分からない場合は、確定している費用と概算を分け、何が未確認かを残しましょう。施設以外から請求される費用は、診療先やサービス事業者にも確認します。

相談員の視点:見積もりで確認したい3つの前提

老人ホーム紹介の相談員として、表示価格をそのまま予算にする前に、次の3点を確認することをおすすめします。

  • 本人の状態が反映されているか:要介護度・負担割合に加え、夜間の支援、通院の頻度、日用品の使用などを伝えたうえで概算を依頼する。
  • 家族が担う支援があるか:買い物や通院付き添いを家族が行う前提なら、難しい場合に頼める支援と料金も確認する。
  • 含まれる項目と別料金が区別されているか:洗濯・リネン・日用品などは、施設ごとに料金の含め方が異なるため、同じ項目を二重に足さない。

定額と説明されたサービスも、対象範囲や回数、追加料金の条件を確認しましょう。見積もりには作成日と想定した利用内容を記録し、契約前には最新の料金表と照合します。

月額総額を出してもらう時の伝え方

施設へは、次のように依頼すると分かりやすいです。

パンフレットの月額料金に加えて、本人の要介護度・負担割合・医療状況を踏まえ、介護保険、医療費、おむつ、日用品などを含む毎月の総額を教えてください。別途発生しやすい費用も一覧でお願いします。

安い場合だけでなく、医療費や付き添いが増えた場合など、少し多めにかかる月の見込みも確認すると資金計画を立てやすくなります。

見積書で確認する7つのポイント

  • □ 月額料金に含まれる項目
  • □ 介護保険サービスの自己負担と加算
  • □ 医療費・薬代の想定
  • □ おむつ・日用品・洗濯代
  • □ 通院付き添い・送迎費
  • □ 入院・外泊中も発生する費用
  • □ 要介護度や身体状態が変わった場合の費用

見学時に使える全項目は、老人ホーム見学チェックリストにまとめています。

費用負担を軽くできる制度も確認する

所得や世帯状況、利用する施設によっては、高額介護サービス費、高額医療・高額介護合算療養費、介護保険施設の食費・居住費を軽減する負担限度額認定などの対象になる場合があります。

高額介護サービス費は、毎月の支払いすべてを一定額に抑える制度ではありません。食費・居住費・日常生活費などは対象外です。食費・居住費を軽減する負担限度額認定も、対象施設や所得・資産等の要件があり、有料老人ホームやサ高住の家賃・食費へ一律に適用されるものではありません。

市区町村の介護保険窓口やケアマネジャー、施設の相談員へ、本人が使える制度と申請方法を確認しましょう。給付の対象や支給時期が確認できるまでは、未確定の軽減額を見積もりから差し引かずに予算を考えます。

まとめ|パンフレットではなく「毎月の総額」で比べる

老人ホームの費用は、家賃・管理費・食費だけではありません。介護保険、医療費、薬代、おむつ・日用品、通院付き添いなどを含めて考える必要があります。

表示されている月額料金が安くても、別途費用が多ければ総額は高くなります。本人の状態を伝えたうえで個別の見積もりを取り、入居期限や受入条件に合う候補を同じ前提で比べましょう。特定の施設数をそろえることより、必要な支援と費用の確認を優先します。


※本記事は2026年9月時点の制度をもとに作成しています。費用、負担割合、加算、軽減制度の対象要件は、本人の所得・要介護度・地域・施設等により異なります。契約前に施設、市区町村、介護保険負担割合証、重要事項説明書などで最新情報をご確認ください。

参考:
厚生労働省「高齢者向け住まいについて」
介護サービス情報公表システム「サービスにかかる利用料」
厚生労働省「補足給付(低所得者の食費・居住費の負担軽減)の仕組み」

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